パリでのこと。

2年前の2019年の夏、私はパリで出展させていただきました。

JAPAN EXPO PARIS 2019という

日本を全力で楽しむイベントの中の、

伝統文化パビリオンというエリアに

お誘いいただいて

人生初のパリは、自分の作品を携えて出かける旅になりました。

今日はその時のことを

書いておこうと思います。

そもそも実は、このイベントに出る予定ではありませんでした。

本当はその半年前、

ロンドンでのクリスマスマーケットの予定だったのが、

スケジュールが合わなくなってしまった私に

担当のMさんが機転を利かせてこんな提案をしてくださいました。

『ナナさんのキャラクターだったら、パリの方が合うかもですね…

 半年後のパリ変更しましょうか!』と。

それまで海外に興味を持ったことがなかった私だったのですが、

それはなぜだかとても腑に落ちる感覚がありました。

そうして決まったパリ出展。

こんな変更でさえ、今思えば運命的に感じます。

だって、変更しなければ

出逢えなかったご縁ばかりでしたもの。

わからないことがわからない状態での出展でした。

でも、それさえもワクワクの種に変わってしまうくらい

パリに胸を躍らせていました。

不思議な話ですが、

海外に興味が1ミリもなかったのに、

私じゃない何かが物凄く喜んでいることが感じられました。

やっとパリに行けるんだ…と涙ぐんだ自分がいて

ハッと我に返った時に、

今のは何だ…???と

もはや頭では理解できませんでした。

魂の記憶とでもいうのでしょうか。

その頃から、

もしかしたらそういうものも本当にあるのかもしれないと

思うようになりました。

パリでの出展は私にとって

人生を変えたターニングポイントだったと言っても

過言ではありません。

それまでは

自分の手元しか見えていなかったと思います。

この私の手元で産み出しているものを、

そこに込められていた先人たちの叡智をもっともっと学び、識り、

私は伝えなければ、と

強い使命感が湧き上がってきたのは

この時だったと思います。

朝、ツアーバスに送ってもらって

自分のブースまで

ばかでっかい会場の中を縫うようにして歩いてようやっと到着するまでに

そこはJAPAN EXPOですからね、

当然言わずもがな見慣れた日本のものが所狭しと並んでいて

会場内はさながら日本。

このまるでニッポンのような会場に

朝から続々とフランスのお客様が

本当に目を輝かせながらやってきてくださる。

私は自分の国の何を知っているんだろう、

何を伝えられるんだろう、

自分の携えてきた作品は

どんな風に届くんだろう、と

拙い英語と翻訳アプリと

なによりもパッションで

とにかくお客様たちとコミュニケーションしました。

私が思っていたよりもうんと

『きれい』って感激してくださって

私が感激していました。

何より驚いたことは

このむすびに込められた意味(ストーリー)に

とても興味を持ってくださったこと。

パッションだけでは消耗が激しすぎたため2日しか持たず、

3日目からは通訳さんのセリーヌちゃんに付いて頂いて

そのむすびに込められた意味を併せて伝えていただくと

熱心に頷き、目を輝かせて

『贈り物にしたい』という言葉を

沢山伺うことができました。

贈り物にかけている紐なんです。

ちゃんとその心が伝わっていることが

なによりもうれしかったし

伝わり合うことって

言葉を超えてひと繋がりなんだ、と体感したときに

今まで感じたことのない感覚がしました。

私は水引のむすびを使って伝えなければ と強く思いました。

日本の文化は愛なんですって 伝えなければって

思ったんですね。

『末永いご縁を祈る』って

直訳するのがとても難しいです。

英語でもフランス語でも、

『ご縁』に相当する単語がないそうです。

そういう言葉を当たり前に、

感覚的にその意味が心に体に刷り込まれていて

何の疑問もなく使っているということを理解した時に、

海外の方にどう伝えていくか、そして同時に

日本での分母も増やさねば、

と考えました。

パリから帰国して、

一番変わったことは

日本国内お声掛け戴けたなら

どこへでも行くようになりました。

だって

せいぜい数時間で行けて、

この日本語が通じるのだから。

パリでのご縁は今もなお。

同じツアーで出展した仲間とは

今でも一緒に展示をしたり

連絡を取り合ったり、

活動を通して刺激をもらっています。

先月の活動はどちらも

このパリでのご縁と、

担当のMさんが繋いでくれたものでした。

志を同じくしている人たちが

離れていても繋がり合っていることを感じると

とても心強くて、

私もがんばろって思います。

パリに行った翌年、

まさか世界がこんな風になるなんて

想像にも及ばなかったけれど、

いま、私にできることを

ひたすら続け続けて、

学び、識り、体感したことを

産すぶことで表現しながら伝えていけたらと

慎ましい気持ちで

今日もむすんでいます。

そして実は来年の秋、

またパリにご縁を戴き

今度は水引のむすびでアートの作品を展示させていただくべく

構想をつくっています。

こんなに丁寧に、

内観も含め心をも整えながら

ひとつの作品に向き合うことは初めてです。

こんな機会を与えてくださったジャパンプロモーションさん、

私を見つけてくれた担当のMさんに、

そして

出逢ってくれた全ての方に感謝ばかりなのです。

虹園のミラクルは、

続く♡